2000年の結成以来、そのやんちゃなキャラクターと楽曲の愛らしさによって一気に現在のパンク・シーンを代表する存在となったアトランタのBLACK LIPS。パンク…っても中指立てるアレとは異なり、彼等は実にピュアでナチュラル。2000年世代ならではの等身大の姿がスコン!とおっ立っております。己の欲求をそのまま音とスタンスに詰めて、時流やら喧噪やら全く関係無し。大好きなサイケとガレージとパンクとポップをブレンドさせている彼等の姿勢こそ、初期衝動=パンクなのではないでしょうかねぇ。その様は2010年2月の初来日ツアーでもガッチリ拝見出来ましたね。
そんな彼等が全世界待望のニュー・アルバム(通算6作目)を発表!「自分たちが一番得意とすることをやる。そして生の音を届けることを心がけながら、プロデューサーを迎えたり、新しい音を試すことに心を開いたんだ。」(コール・アレキサンダーVo/G)
この発言通り、彼等は今作で始めてプロデューサーを立てました。それも大物、マーク・ロンソン!!Nas、アデル、カイザー・チーフス、デュラン・デュラン、リリー・アレン、そしてエイミー・ワインハウス……などなど手がけて来た彼の起用はメンバー全員のアイデアだったそう。「彼は古い音を理解するポテンシャルが高いってすぐに分かった。僕たちは単に古く聞こえたい純粋主義者ではなくて、昔に使ったレコーディング・テクニックで、すごくいい音を現状にも取り入れたいと思っているんだよね。そのことを彼は理解してくれると思ったんだ。」そんなメンバーの期待通り、ロンソンと手を組むことで、よりリラックスしたペースで制作を進めることが出来て、さらには歌唱の部分を磨く余裕すら与えられたとのこと。「前作を終えた後、僕らは今までのアプローチに頭打ちになってしまった。だからこのアルバムにはじっくり時間をかけることにしたんだ。結局一年半も時間を費やして、今までで一番長く時間がかかってしまった。過去にいくつかすごくいいポップ・ソングを書いたことがあるんだけど、いつも制作過程で泥沼に埋もれちゃう始末なんだよね。でも今回はプロダクションを強化することで明らかな違いがでた。僕たちの領域外でもあったし、マークの領域外でもあったはずなんだけどね。」
今作のほとんどの曲は、ブルックリンにあるメトロソニック・レコーディング・スタジオにてロンソンと共に収録されたものの、「Go Out and Get It」と「Bicentennial Man」の2曲だけはアトランタの盟友ディアハンターのメンバーのロケット・プントによってレコーディングされました。コールいわく「その2曲は、4曲入りのカセットのために収録したんだ。正にオールド・スクールのブラック・リップスみたいにね。僕らはかつてそういうレコーディングが主流だった。カセットの音ってほんと好きなんだよね。すごくコンパクトなのにパンチが効いてるからさ。」
はい、そのパンチはアルバム全体にも吹き荒れておりますよ。随所に感じられる確信犯的な毒々しさも本当にこのポップスには素敵なスパイス。そしてそんな空気感は彼等が単なるガレージ・パンク・バンドではないことを顕著に表していて、この開放感だったり、DIY感は、ここんとこのチルウェイヴやらグローファイ勢にも通じると思うのです。まっ、もちろん彼等の方が悪ガキ系ですけどね!とにかくこれぞ2000年代のリアル・パンクなのだと!このピリリとちょい辛のパンクちゃんをガッチリ楽しんでください!! |